ネパールは「人間よりも神様が多く住む国」(300万以上の神様がいるとか!?)とも例えられているように、人々の生活と宗教は深く結びついています。
ネパール人の中には仏教を信仰している人も多いですが、国教はヒンズー(ヒンドゥー)教とされていて、街中には色々な神様が祀られています。
(※正確には2006年以降、ヒンズー教を国教扱いすることは廃止となったようです)
ヒンズー教はインドやネパールで多数派を占める宗教です。
キリスト教、ムスリム教に次いで3番目に人口の多いヒンズー教ですが、日本人にとってはあまりなじみがないと思います。
私もネパールにくるまでは「ガネーシャ」の名前くらいしか知りませんでした。(ある日本のドラマの題材にガネーシャが使われていたので・・・)
ヒンズー教の代表的な神様とは?
300万以上もいると言われている神様についてはさすがに覚えきれませんので、代表的なヒンズーの神様、人気のある神様について紹介したいと思います。
創造の神 ブラフマー
ヒンズー教では、この世の中・宇宙を創造したのがブラフマーだとされています。
私はずっとアダムとイブの神話(キリスト教)しか知りませんでしたが、宗教が違えば歴史も変わってしまうんですね。
この世を造ったということで、一番重要な神様なように思いますが、それほど人気は高くない神様だという印象です。
維持の神 ヴィシュヌ
ブラフマーやシヴァは、ヴィシュヌの体から生まれたとされているらしいです。
この世を造ったのがブラフマーなのに、ヴィシュヌの体から??
ちょっと矛盾している気がしますが、突っ込みどころ満載な面もヒンズー教には多いですので気にせずに。
ヴィシュヌは様々なものに化身として生まれ変わるとされています。
数が多すぎて何度聞いても覚えきれないのですが、クリシュナという神様や仏教でおなじみの「ブッダ(釈迦)」もヴィシュヌの化身らしいですよ(ヒンズー教上では)。
もう何が何だかという感じです(笑)
破壊の神 シヴァ
シヴァはインド・ネパールで人気もあり、日本人でも聞いたことがあるという方はいるのではないかと思います。
破壊神というだけあって、相当暴れ者らしいです。
額にある第三の目からは全てを焼き尽くす、威力のある光が発せられるとか。
そんな怖いイメージのシヴァですが、奥さんを大切にしたり、様々な恩恵を人々にもたらすという一面もあることから、大変人気があるそうですよ。
シヴァの乗り物は牛
シヴァが牛に乗って移動することから、ヒンズー教では牛は神聖なものとして扱われています。
もちろん牛を食べたり、殺したりということもタブーです。
まぁ実際には、店先の果物や野菜を食べようとして店主にこっぴどく叱られ、追い払われている野良牛も多いですが。
出典:http://shingon18.blog14.fc2.com
画像 左:ブラフマー 中央:ヴィシュヌ 右:シヴァ
この世の中にあるものは「創造され(つくられ)」「維持され(保たれ)」「破壊される(いつかなくなる)」 という考えから、以上の神がヒンズー教の三大神とされているそうです。
それではその他の有名な神様についても少し紹介しますね。
愛と美の神 パールバティー
破壊神シヴァの奥さんです。
パールバティーはシヴァの亡くなった前の奥さん「サティ―」の生まれ変わりとされています。
※カトマンズダルバール広場にあるシヴァとパールバティーの像
シヴァとパールバティーは仲の良い夫婦なのか、一緒に描かれていることが多いです。
シヴァは乱暴者の反面、とても愛妻家だったとか。
富・学問の神 ガネーシャ
出典:https://www.ayurvedalife.jp
シヴァ・パールバティーとガネーシャ(左)
シヴァとパールバティーの息子です。
日本では一番と言っていいほどヒンズー教の神様の中では有名ではないでしょうか。
人間の体をしているのに、顔が象だというのが印象的ですが、それにはひとつのストーリーがあるんです。
ガネーシャの誕生神話
ある日パールバティーが自分の体の垢をこすって美少年を作りました。これがガネーシャです。
しかし、外出から戻ってきたシヴァは、自分の留守中に見知らぬ男がいたことに腹を立てて、ガネーシャの首をはねてしまいます。
これをみたパールバティーは大激怒! 事情を知ったシヴァは近くを通りかかった象の首を切って、それをガネーシャにつけ、パールバティーに許してもらいました。
・・・・垢をこすって子供をつくる話は日本の昔話にもありますが、首を切り落とすとか、付け替えるとか、怖すぎ!と感じるのは私だけでしょうか!?
幸福・繁栄の神 ラクシュミー
出典:https://www.ayurvedalife.jp
維持の神、ビシュヌの妻です。幸運の女神としてとても人気が高いです。
毎年10~11月頃に行われるティハール祭では、人々は家中に灯りをともし、玄関から道しるべを描いてラクシュミ―を招き入れる準備をします。
街中が装飾やライトで幻想的になるティハール祭の美しい印象もあり、私もこのラクシュミー女神が一番好きです。
ネパール人の名前は神様の名前が多い?
何人かの神様をあげてみましたが、大好きな神様の名前を自分の子供にもつけたくなってしまうんでしょうか。
ネパールには神様からとった名前をつけた人がとても多いです。
「クリシュナ」「ラクシュミ」「ドゥルガ」「ガンガ」「ウマ」「ヴィシュヌ」など。
あと、ネパールの男性によくある「~ンドラ」と言う名前も「インドラ」という神様の名前からきているらしいですよ。
「ギャネンドラ」「ディペンドラ」「マヘンドラ」「ジテンドラ」など。
・・・といっても、現在は事情が少し変わっています。
「ネパールの子供の名前と人間関係の呼称」の記事でも触れていますが、神様系の名前は今は流行らないみたいですね。古くさい響きがあるようで、避けられている傾向にあります。
しかし、日本でも昔ながらの名前が敬遠されていた時期がありましたが、またあえて子供に古風な名前をつけたがる親も増えてきているとか。
う~ん、ネパールでもまた神様の名前が流行する日が来るかもしれませんね。
ヒンズー教は信者の数では世界三番目ですが、地域的にみれば、信者のいる範囲はごくごく限られているそうです。
生れた時からヒンズー教の神様を身近に感じてきたネパール人と、ヒンズー教の神様がどうしてもオカルト的に感じてしまう私の間には壁があります。
でもネパールに住んでいるからには目を背けられない習慣でもありますので、時間があれば少しずつでも勉強して、ヒンズー教の知識を増やしていけたらなぁと思います。(※決して信仰はしませんけどね)