ネパールに移住してきて十数年。
最近、自分自身で多用しているネパール語があることに気づきました。
それが「ケ・ガルネ?」という言葉です。
ネパール語で「ケ ガルネ?」の意味は?
「ケ ガルネ」は、直訳すると「ケ=何」「ガルネ=する」なので、「何する?」または「どうする?」の意味になります。
ネパールでの滞在が長くなれば、そこらじゅうで頻繁に使われている言葉だということがわかると思います。
<例:バナナ売りと客の会話>
Aさん:「ケラ ディヌナ」(バナナ ちょうだいよ)
バナナ売り:「100ルピヤバヨ」(100ルピーだよ)
Aさん:「オホー マハンゴバヨー!」(え~高い!)
バナナ売り:「90ルピヤサンマ アウンチャ ケ ガルネ?」(90ルピーまで安くできるよ。どうする?)
・・・こんな感じですね。
でも実は「ケ ガルネ?」ってネパール人の性格や考え方がすごく反映されている言葉だと思うんです。
「ケ ガルネ?」という言葉に隠された真意はズバリこれ!
わかりやすいように、いくつか例をあげたいと思います。
「ケ ガルネ?」の使用例 その1
ある大事なミーティングに1時間も遅れてきたネパール人Aくん。
みんなに遅刻を注意されて一言・・・「ケ ガルネ?」
・A君が発した「ケ ガルネ?」の真意を解説!
「遅刻はしたけど、遅れようと思って遅れたわけではない。さっきまで一緒にいた友人の話が長かったんだ。そのうえ道も混んでいた。だから決して僕のせいではない。・・・どうしろってんだ?」
「ケ ガルネ?」の使用例 その2
あるスーパーマーケットの食器売り場で、買い物をしていたネパール人主婦Bさん。
手を滑らせてお皿を割ってしまう。
驚いて駆け付けた店員さんに一言・・・「ケ ガルネ?」
・Bさんが発した「ケ ガルネ?」の真意を解説!
「こんなにたくさんお皿を並べていたら、そりゃあ誰でも割っちゃうわよね。だから決して私の不注意のせいではないわよ・・・並べ方が悪いのよ。どうすればいいってわけ?」
「ケ ガルネ?」の使用例 その3
もうすぐガスシリンダーが切れそうだったので、ガス屋に電話して配達してもらうことにした私。
店主は電話口で「今日中に必ずもってくよ!」と約束してくれた。
しかし、待っても待ってもガスシリンダーは届かず、そして電話をしてもつながらない。
翌日になって、何事もなかったかのようにガスシリンダーを持ってきた店主。
なんで昨日のうちにもってこなかったのか問い詰めた私に一言・・・「ケ ガルネ?」
・ガス屋が発した「ケ ガルネ?」の真意を解説!
「昨日のうちに届けようと思ったけど、雨が降ってきたんだよ。だから決してオレのせいではない・・・雨のせいなのにどうすればいいの?」
お判りでしょうか?・・・「ケ ガルネ?」は、以上のように使用されます。
要するに自分ではどうしようもできない出来事により起きてしまったことで、「決して自分のせいではない」「どうしようもなかった」といい訳する時に都合のよい言葉なんです。
ここで、日本人ならこう突っ込みたくなるでしょう。
・遅刻したA君へ・・・「いやいや、自分が遅刻しないように気をつければいいことでしょうよ!」
・皿を割ったBさんへ・・・「いやいや、割ったのは事実なんだから謝りなさいよ!」
・約束をすっぽかしたガス屋の場合・・・「いやいや、必ず今日くるって約束したよね?遅れるなら連絡してよ!」
・・・というように、ネパール語の「ケ ガルネ?」は突っ込みどころの多い言葉なのです。
あえてキツイ言葉で言ってしまえば責任転嫁・責任逃れですね。
とは言っても「ケ ガルネ?」は便利な言葉
以前はこういった感じで「ケ ガルネ?」を言われるとムカッときていた私ですが、最近はなかなか便利な言葉だな~と思ってきました。
私の娘が誰かに迷惑をかけた時も「ケ ガルネ?」(どうしろっていうの?子供だから仕方ないしね~)
ティカ(お祝いの印として額につけるもの)を拒否する時も「ケ ガルネ?」(だってボロボロ落ちるしさ~ 私の額と相性わるいし、どうしようもないでしょ?)
頼まれていたことをすっかり忘れていた時も「ケ ガルネ?」(私のせいじゃないよ。加齢のせいよ~)
という調子でやり過ごしています。
はっきり言って「ケ ガルネ?」は、私にとって図々しい言い訳として使いやすいのです(笑)。
しかし、それを笑って受け止めてくれるのがネパール人。さすが懐が深いですね。
「郷に入っては郷に従え」といった精神で、これからもネパール生活をエンジョイしていくために「ケ ガルネ?」を愛用(?)していきたいと思っておりますm(__)m